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​神奈川県議会 令和3年第2回定例会(5月17日~7月13日)

常任委員会<環境農政>

令和3年度の県議会がスタートしました。環境農政常任委員は2年連続の所属となります。7月1日の委員会において以下3項目について質問、要望をいたしました。

1.  食品の自然循環の促進について

​2.プラごみの資源循環に向けた取組みについて

​3.地球温暖化対策の推進について

以下、当日の委員会における質疑内容をご報告します。

当日の委員会の様子は、こちらでご覧いただけます。

https://kanagawa-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=2376

(神奈川県議会インターネット議会中継 録画映像 令和3年第2回定例会 環境農政常任委員会 7月1日)

1. 食品の自然循環の促進ついて

わが会派が代表質問で取り上げた、食品ロス削減に向けた取組については知事から、事業系の食品ロス量が27.7万トン、家庭系の食品ロス量22.2万トン、合わせると県全体の食品ロスは49.9万トンであるとの答弁であった。

単純比較はできないが、総量は東京都に次いで全国で2番目に多く、家庭系にいたっては、全国で一番多いという結果。そこで、本県の食品ロスに対する取組は重要と考える。

食品ロスは、生産、流通、消費の各過程で発生している為、削減には、事業者・県民と一人ひとりが、自分事として捉え、具体的な行動を起こすことが求められる。

一方で、外食産業や学校給食などで発生した食べ残しや、コンビニ等で発生する消費期限切れの弁当なども、安易に廃棄するのではなく、県として飼料や肥料としてのリサイクルを推進すべきと思う。

そこで、今後、県が進める食品ロス削減に向けた取組と共に、食品廃棄物の資源循環について何点か伺う。

問1 今回、初めて県内の事業系の食品ロスの量が明らかになったが、食品工場などから発生する、事業系食品ロス27.7万トンの業種別発生量とその発生要因を伺う。

問2 知事からは「県内の食品ロスの発生状況を踏まえ、削減目標に向けて実効性のある取組を進め、事業系の削減については、賞味期限内の可能な食品をフードバンク団体に提供する取組を促進する」との答弁。コロナ禍フードバンク団体ではストックが不足、その影響から子ども食堂からも食材支援の声もあり、早急な対応を求められるがどのように進めるのか。

問3「外食時の食べ残しを減らす。消費期限の近い商品から購入する。といった行動を促すため、消費者への意識啓発に取り組む」との答弁、意識啓発は重要だが時間もかかる。どのように取組むのか。

問4 企業や集合住宅では多くの災害備蓄品が保管され、賞味期限が切れてしまえば、廃棄物として処理となる。基本的にその管理は各事業所であるが、廃棄物の削減と共に、困窮者支援にもつながるフードバンク団体への提供など、県としても取組促進に取組むべきと考えるが何か行っているのか伺いたい。

問5 家庭系の食品ロス削減への意識は、私がリサーチした結果では年代によって「食品ロス」の意識が異なることも判明したが、そのような調査結果はあるか。市町村と連携し情報発信とは具体的にどのように取組むのか、小売店との連携も必要と思う。

問6 昨年、国は「食品ロス削減推進法基本方針」を発表、家庭系・事業系の食品ロスを2000年度比で、2030年度までに半減するとした。県の目標数値も同様のようだが、今年度中に行う「食品ロス削減推進計画」の策定は、(市町村や事業者、関係団体、消費者等の)多様な主体との連携に、実効性のある計画の策定が重要。数値目標の進捗状況を把握する必要があると考えるがどのように取組むのか。

問7 食品関連事業者からは、食べ物としては再利用できないが、飼料や肥料としてリサイクルできる食品廃棄物も多く発生している。食品廃棄物の資源循環の観点から、県内の食品関連事業者から排出される、食品廃棄物等の量と業種毎の内訳を確認したい。

問8 国は「食品リサイクル法に基づく基本方針」を新たに定め、食品関連事業者の業種毎のリサイクル目標を掲げているが、県として、これを促進するために取り組んでいることがあれば伺いたい。

  

問9 本県は大量の食品ロスが発生している現状からも、食品ロスの削減と、食品廃棄物の資源循環は重要。今後、どのように進めていくのか伺いたい。

(要望)

食品ロスは生産、製造、販売、消費等の各段階で、日常的に大量の食品ロスが発生している。しかし、コロナ渦における自粛生活から、外食や宴会が減り事業系は減少、さらに家庭では食品を計画的に使う行動や冷蔵庫にある食品をチェックするなどの人が増え、世界各国においても、食品ロスの減少が報告されている。

コロナ禍による「新しい生活習慣」から、食に対する意識や関心が高まる中、コロナ収束後も、県民の食品ロスへの関心を高め、また、外食産業における対策強化の取組は重要である。また、学校給食や病院や施設等での生ごみ削減としての残渣堆肥化などは有効な資源循環であるが、そのような取組に対する支援も併せて必要である。

多方面からの食品ロスという社会問題解決に取り組み、さらにはフードバンクつまり貧困問題の支援など、今後、県が策定する「食品ロス削減推進計画」が実効性のあるものになるよう、県内市町村や企業、団体等と緊密に連携し、しっかりと取り組んでいただくよう要望する。

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(消費者庁サイトより)

2. プラごみの資源循環に向けた取組みについて

コロナ禍の影響として、テイクアウトの増加により容器包装など「プラスチックごみ」は増加傾向。日本人ひとりあたりのプラごみは世界で2番目に多いという報告もあり、海岸のごみに関しては、ペットボトルなどのプラごみが圧倒的に未だ多く、最近は使い捨てマスクや除菌シートなども増え、海洋汚染の原因として対策の強化が今求められている。

かながわ海岸美化財団の調査によれば、3割が放置、7割は漂流ごみとして街中や河川敷から流れているとされている。こうした状況を踏まえ、今後、海洋プラごみが環境中に排出されない為には、入口と出口の対策が重要である。

海岸対策、ごみのポイ捨て禁止、資源循環の推進と様々な取組を進めていくことが求められるが、これらに関連し何点か伺う。

問1 県は、昨年3月に策定した「かながわプラごみゼロ宣言アクションプログラム」を進めているが、家庭や事業所から排出されるプラごみの県内の実態はどうなっているのか。

問2 アクションプログラムの3本柱の一つである「プラごみの再生利用の推進」だが、日本のリサイクルはサーマルリサイクルが多いと聞いており、分別の不徹底によりマテリアルリサイクルはまだ23%に過ぎないようだが、県内のプラごみのリサイクルの状況を伺いたい。

問3 県では、プラごみの内、特にペットボトルの再生利用を進めるとしているが、ペットボトルは、主にどのようなものにリサイクルされているのか確認したい。

問4 ペットボトルをペットボトルに再生するには、捨てる際の3分別が重要であり、全国の現状は13%と低い。先ずは県の率先した取組が求められるが県庁内や、県有施設での取組みの状況を伺う。

問5 独自でトレーやペットボトルなど店頭などに設置された回収箱で集めリサイクルする企業に話を伺ったが、マナー違反も多いと聞き、リサイクルして資源循環もひとりひとりの意識・事業者の取組が非常に大きく影響する。海外では量り売りやエコバックなど昔から環境配慮型店舗は多く、今後県内でも広がってほしいと考えるが、県として何かしら支援や「環境に配慮した店舗」認証のような制度はあるのか。

 

問6 アクションプログラムの「クリーン活動の拡大等」について、何点か確認したい。かながわ海岸美化財団の調査では、海岸のごみの約6割はプラごみだが、それ以外、県としては把握しているか

問7 たばこのフィルターも非常に多く、それらはプラスチックで出来ており分解されるまで最大で10年もかかる。県は、今後、音声発信機能付きドローンを活用し河川や海岸でごみの持ち帰りを呼びかけるとのことだが、たばこの吸い殻の約3分の2は路上や側溝に捨てられ河川や海に流れているとの報告もある。

ポイ捨てが海洋汚染につながることを周知し、ごみの持ち帰りの呼びかけに加え、街中においてもたばこやプラごみのポイ捨て禁止、条例など強い規制の必要性も感じるが、県の取組みを伺う。

 

問8 プラごみによる海洋汚染問題では、マイクロプラスチックの対策も重要。私も時々海岸清掃を行っているが、最近はプラスチック製品の原料の樹脂ペレットや稲作で使われる肥料の空き殻などのプラススチックゴミが海岸で多数確認され、この発生源は一般的には事業所と考えられるが、漏れ出さないような対策が必要であると思う。

昨年視察した環境科学センターでは実態調査を行っているが、その調査結果を課題解決に活かすことが重要。

県ではシービンなどマイクロプラスチックの回収機を3台設置はしているが、具体的な活用には問題もあると聞く。県として発生源への対策、プラごみの資源循環、プラごみのポイ捨て対策等は重要な取組みと思う。今後、県としてどのように進めるのか伺いたい。

(要望)

プラスチック製品からの便利な生活が大きな課題をも生み出していることは今、多くの県民も理解していると思う。

プラごみの資源循環と共にプラスチック製品の使用を控える取組も要望する。例えば、県庁舎内や県営施設などにおけるウォーターサーバー設置、これから始まるオリパラ会場などでの飲食など、県民の行動変容へと繋がる取組も進めていただきたい。

また、事業系としては、ホテルや旅館などで使用される歯ブラシなど多数の使い捨てプラスチック製品への対応、さらに食品容器など企業や小売店の取組も重要である。

食品やプラごみなど、ゴミの削減、資源循環に取組むにはコストも手間もかかるため、その取組みに対しては県の様々な支援も必要。6月には、国で「プラスチック資源循環促進法」が可決され、プラごみの削減や資源循環を進めていくとしている。

今後「新しい生活様式」として、環境に配慮した製造・販売・消費と各方面への取組みもしっかり推進していただくよう要望する。

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3. 地球温暖化対策への推進について

県内のCO2排出量は、産業、サービス関連・公的機関などの業務、次に家庭の順に多く、2013年度比は減少傾向にもあるが、今回報告のあった、新たな削減目標の達成は、一層の取組が不可欠となっている。

この問題の解決に向けては、今後策定される「脱炭素ビジョン」における産業界はじめ、県民一人ひとりの関心を更に高め、行動変容につなげることが不可欠である。

 

昨年度の常任や予算委員会においても、地球温暖化対策については質疑を重ねてきたが、昨今、国内外における若者の環境意識が高まる中、将来を担う若年層への環境教育、本県の温暖化対策の取組については目標数値に対する具体的内容を何点か伺う。

問1 若年層への環境教育について、これまでどのような取組を行ってきたのか確認したい。

 

問2 学習教材の動画だが、YouTubeであったので私も視聴した。県内農家や漁師のインタビューがあり身近なことを考えていただける要素、また、IGESが監修ということで動画の完成度は高いと思うが、個人的には県のPR感が強く製作費が約750万円とのこと、費用対効果も気になった。動画は今年の3月から公開、1本が5分程度と視聴しやすい環境教育教材、また、YouTubeということで公開後の視聴数、また、高校での利用度、若い世代からの感想やフィードバックはあるのか伺いたい。

 

問3 本年度の「環境農政局事業概要」の「主要施策の概要」に、環境学習推進事業では地域で活躍する地球温暖化防止推進員や環境団体の支援とあるが具体的内容を伺いたい。

 

問4 CO2フリー電気を目指し、県と企業庁などが協定を結んだ「アクアdeパワーかながわ」はCO2の排出が多い業務部門の削減に有効と考える。その認証第1号が昨年の12月に認証されたが、その後はあるのか。また、そのプロジェクトは令和2年から令和5年までの4年間とのことだが、何故期間限定なのか、その仕組みや活用方法など併せて伺う。 

 

問5 県民ニーズ調査からも分かるが、気候変動への関心は87%と高いものの、再エネ電力への購入希望は30%と低く、本県の主要施策でもある家庭向けの削減対策は重要と考える。

そこで、昨年度、家庭向けの再生可能エネルギーの利用拡大に向け行った「みんなで一緒に自然の電気」のキャンペーンだが、これは2016年電力自由化がスタートしたことを受け、新たな取組のようだが、どのような特徴、また県民にとってどのような利点があるのか伺う。併せて、これまでの実績、今年度の予定も確認したい。

問6 キャンペーンへの参加者数と、実際に再生可能エネルギー電力の契約に切り替えた人数に乖離が見られるが、これにはどのような背景があると考えているのか。また、それに対し、今年度はどのような対応を行うのか。

問7 業務部門の削減も大きな課題であると考える。県内企業等の再エネ利用を促進する「かながわ再エネ電力利用応援プロジェクト」は(30%以上、70%以上、100%と3メニューの認定制度となっているが、)昨年度(令和3年1月)スタートしたと伺っているが、現在の状況を確認したい。

問8 本県の再エネルギー比率を引き上げるにはポテンシャルの高い太陽光の普及促進が大きなカギとも言えるが、正直伸び悩んでいる現実がある。

今回、2030年度46%削減に設定すると報告があったが、より高い目標数値を打ち出し、技術革新や積極的な投資を引き出すことが重要と思われる。国内外の専門家からも60%以上の削減が必要との分析もある中、県民の地球温暖化問題に対する関心を高め、更なる取組を促すためにも、国を上回る高い目標を設定すべきと考えるが、所見を伺いたい。

(要望)

県の中期目標を、暫定的に、国に合わせて46%削減に見直すとしたが、「SDGs未来都市」である本県としては、県独自の更なる高い目標を設定し、県民や企業の取組も促すべき具体的な計画を創造していくことが重要と考える。

目標設定は会社経営においても事業計画に大きく影響する。私自身も会社経営からその目標数値を高く掲げることで様々な企画も組み立ててきた経験から、たかが数字されど数字と考える。今後、温室効果ガス削減に向けた取組を更に加速し次回の全面改定の際には、より高い中期目標の設定について検討して頂くよう要望する。

また、コロナ対応に世界が追われる中、食品ロス・プラごみ対策、地球温暖化対策も世界共通の課題として、本県においても重要施策であり、この秋には発表予定のIGESとの研究成果「脱炭素ビジョン」なども通して本県が「脱炭素先行県」となるよう要望する。

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​YouTube かなチャンTV(神奈川県公式)より

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