神奈川県議会 令和2年第2回定例会(5月15日~7月10日)
<本会議 一般質問>
令和2年6月23日、本会議一般質問に立ちました。
議員2年目、本会議初登壇でした。
先輩、同僚議員の助言や多くの皆様の応援をいただき、本番を迎えることができました。
多くの想いと今までの経験値をもとに以下の7つの質問をさせていただきました。
1. 感染症対策における専門人材の確保・育成について
2. 地域包括ケアを担う総合診療医について
3. SDGsを通じた地域活性化の促進について
4. 持続可能な有機農業の推進について
5. 食の魅力を生かした三浦半島地域の活性化について
6. 子どもの貧困対策と居場所づくりについて
7. 日米地位協定の改定に向けた本県の取組について
一般質問と答弁(概要)
1. 感染症対策における専門人材の確保・育成について
(質問)
新型コロナウイルス感染拡大を契機に、感染症対策の重要性を認識。
各都道府県に配置されている「感染症指定医療機関」には、専任の感染症専門医が不在のところもあり、専門の資格を持つ看護師の数も十分とは言えない。
感染防止対策強化には、感染症に対応できる人材の確保が必要である。
専門的な知識や経験を有する人材の確保・育成への取り組みを伺う。
(知事答弁)
国は、今回の新型コロナウイルス感染拡大を受け、地域医療研修につき、保健所における研修に置き替えることを認めた。県としても臨床研修医からの希望に応じて積極的に受け入れていく。
県立保健福祉大学実践教育センターでは、「感染管理認定看護師」の教育課程を設け、年間30人の人材育成に取り組む。
感染症の研修教材として使用できる動画やスライド作成など、医療機関が行う研修について企画・支援を行っていく。
県は、より多くの医療従事者が感染症対策についての知識・技術を身に着け、レベルアップを図れるよう関係機関と連携しながらしっかり取り組んでいく。

(要望)
・県内で感染症学部のある教育機関は、聖マリアンナ医科大学のみ。感染症関連の教育を充実させることで、病院経営にも良い影響があると考える。
・感染症医療従事者の確保・育成・学部の増設を進め、教育を受ける際の支援制度の充実を要望する。
2. 地域包括ケアを担う総合診療医について
(質問)
高齢化社会の医療は地域包括ケアが重要である。
多くの疾患を抱える高齢者に複数の医療機関から処方された多量の薬を飲む「ポリファーマシー(多重服薬)」が懸念されている。
医療機関の薬剤情報共有による適正な処方も必要だが、病気を幅広い視野で診る「プライマリ・ケア」を担う総合診療医が必要と感じる。
県として総合診療医の育成にどう取り組むか伺う。

(健康医療局長 答弁)
高齢化の進展に伴い、総合診療医の育成・確保は重要。
県では、総合診療医の役割や重要性に関する研修会開催、内容をHPで公開してきた。
今年度からは、修学資金貸付の対象となる診療科に「総合診療科」を追加した。
総合診療医は、研修期間が長期になり、目指す若い医師が少ない課題がある。そこで、大学病院などにおいて、総合診療医のもとで若い医師が経験・実績を積み、知識習得し、育成につなげていく。
県医師会・県病院協会等と議論し、セカンドキャリアとして、地域医療や在宅医療を担う総合診療医への転換促進策を検討していく。
(要望)
地域包括ケアシステムを推進していく上で、担い手の確保や病診連携体制の構築、総合診療医の育成など様々な課題をクリアし、それぞれが身近なかかりつけ医を持ち、安心して老後が迎えられるよう、地域包括ケア体制の整備に取り組んでいただくよう要望する。
3. SDGsを通じた地域活性化の促進について
(質問)
「SDGsつながりポイント事業」は、身近な行動がSDGs達成につながる気づきや行動の促進、地域循環を作りだすツールとして有効と考える。
昨年度、鎌倉・小田原市の実証事業においては、成果・課題の両面があったが、地域活性化に繋げる為には、問題解決し、継続していくことが重要。
県民のSDGsにつながる行動促進・地域活性化の促進に向けての取り組みを伺う。
(知事 答弁)
「SDGsつながりポイント事業」は、地域の問題解決に向けた活動を通じて、身近にSDGsに気づき、自分事化することが狙い。
鎌倉市と小田原市の実証事業では、50の店舗、約1500人が参加。「地域の課題を解決して、地域を盛り上げたい」という共通の想いで住民・店舗・企業のつながりが広がっている。
今後も地域での取組や市町村と連携して、「つながりポイント」の導入拡大を図り、SDGsの行動促進と地域活性化を後押ししていく。
4. 持続可能な有機農業の推進について
(質問)
有機農業について、県では平成21年に「有機農業推進計画」を策定したが、有機農業への新規就農者は少ない。有機農業の相談対応、研修先の紹介、農地調整、技術指導など新規就農サポートが必要である。
また、収穫物のオーガニックブランドによる差別化や、マルシェへの出店など有機農業推進に重要と考える。
有機農業の推進についての取り組みを伺う。
(環境農政局長 答弁)
有機農業者に対する技術指導を農業技術センターで、情報提供・相談をかながわ農業アカデミーで行っている。現在、県内では約300名の方が有機農業に携わっている。
有機農業は、病虫害の防除や除草に労力がかかること、安定供給が難しいなど課題があり、技術開発や安定経営への支援が必要。県では、農業技術センターが民間企業等と共同で技術開発に取り組んでいる。
例として、生分解性フィルムを使用したマルチ資材、作物を振動させて害虫を寄せ付けない技術など。
今後は、これら技術の実用化と経営安定に向けて、国の交付金を活用し経費の負担を軽減していく。

販路拡大については、「かながわ農林水産品マッチング商談会」への参加呼びかけ、都内の大規模な収穫祭イベントへの出店支援をしていく。
県では、持続可能な有機農業の推進を図り、本県農業を振興していく。
(要望)
神奈川県の食料自給率はカロリー・生産ベースともに全国ワースト3位。農業従事者は、高齢化や後継者不足により減少しており、若い担い手を育成していくことが重要。若い人に人気のある有機農法の推進は持続可能な農業に寄与し、SDGsの観点からも好ましい。
県内では、小田原と平塚がオーガニックビジネスの拠点となっているが、三浦半島でも取り組んでいただくよう要望する。
5. 食の魅力を生かした三浦半島の活性化について
(質問)
三浦半島の地域ブランドを確立するためにも、「食」の魅力を知ってもらうことが重要。
三浦半島地域の活性化に向けて、今後どのような食の魅力を生かした取組を展開していくのか伺う。
(知事 答弁)
三浦半島の「食」の知名度をさらに高め、ブランドとして確立、主力産業である観光分野において「食」をきっかけとした来訪者を増やし、地域全体で稼げる仕組みにしてくことが重要。
県では、イタリア料理食材を地元で生産、提供できるという特性を、在日イタリア商工会議所と連携、イタリアや食に関心を持つ消費者にアピールし、地域知名度向上を図っていく。
今後設立予定のDMOがサイト開設準備を進めており、新しい生活様式の下でも有効なツールとして活用、地域の隠れた逸品の掘り起こし等を支援、ブランド向上を図る。
さらに、収穫した農作物を調理する体験ツアーなど「食」に関する体験型観光について、生産者と観光事業者のマッチングを進めるなど、商品化後押しを進めていく。

(要望)
豊かな農産畜産物と海産物に恵まれた三浦半島は、環境の素晴らしさに感動する来訪者も多い。暮らすように「食」を楽しむ旅や、感染拡大防止と地域経済を両立する地域内観光といった新しい観光スタイルの構築、新しビジネスモデルタウン化など、具体的な三浦半島活性化の施策を要望する。
6. 子どもの貧困対策と居場所づくりについて
(質問)
生活困窮の割合の高い「ひとり親家庭」支援には「子どもの居場所」づくりが必要。
地域活動の支援について市町村が担っているが、コロナ禍において困難が生じている今、県としても積極的な支援が必要と考える。「こどもの居場所」に関する地域の取組に対し、県はどのように支援していくのか伺いたい。
(福祉子どもみらい局長 答弁)
県は、市町村や経済団体等とともに「かながわ子どもの未来応援団」を平成29年に立ち上げ、地域活動の支援をしてきた。今後は、応援団のHPを充実し、「子ども食堂」などの活動情報や資金や物資の提供情報を集約して発信する。
さらに、個別に活動する団体のネットワークづくりを支援し、情報共有や人材のマッチングが進むよう活動の活性化を図る。
また新型コロナウイルス感染症拡大以降、「子ども食堂」の多くは、現在も活動休止や縮小に追い込まれており、再開に向けた支援が必要。
「新しい生活様式」を取り入れた運営方法の好事例など運営団体に紹介、「かながわ新型コロナウイルス感染症医療・福祉応援基金」を活用した協力金など、地域における「こどもの居場所」づくりを県としてもしっかり行っていく。

7. 日米地位協定改定に向けた本県の取組について
(質問)
米軍基地における新型コロナウイルス感染症情報など、基地の実情がみえない現状をどのように認識しているのか、また日米地位協定の改定にどのように取り組むのか所見を伺う。
(知事 答弁)
現行の日米地位協定には、検疫や保健衛生に関する規定がない。基地周辺住民の方々の安全にかかわる分野について、日米地位協定を改定し、国内法令を適用するよう引き続き国に求める。
今後も、基地に起因する様々な課題を抜本的に解決するため、渉外知事会の会長として、日米地位協定の過程に向けて全力で取り組んでいく。
