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地域包括ケア 医師のお話

昨年 佐々木先生 の講義を聞き、自然療法派の私は府に落ちる内容ばかり。


在宅医療に携わる医師の方々にもお話を伺い、委員会や一般質問でも取り上げた地域包括ケアー。


コロナ感染症に携わる医療関係の方々はじめ、在宅医療など医療従事者の皆さまには心から感謝の気持ちと共に、地域の支え合いがますます問われます。


そこには行政の支援の充実も!





佐々木 淳先生(医療法人 悠翔会)のFacebook(7月10日)より

診療を終えて家に帰ろうとした時、進行胃癌の男性が吐血したと訪問看護師さんから相談あった。本人は病院には行きたくない、点滴もしたくない、このまま自宅で最期まで過ごしたいと話しているという。

訪問診療は入っていない。今夜急変されると、警察による検案死になってしまうかもしれない。 ご本人の状態確認と今後の対応方針を考えるためにとりあえず向かうことにした。

山の日の夕方、対向車線の渋滞は房総半島からの行楽帰りの車列か。目的地に到着したのは日がまさに沈もうとするタイミング、電話をくれた訪問看護師さんが待っていてくれた。

タバコのヤニで燻んだ部屋の中に設置された真新しい介護用ベッドの中に彼はいた。挨拶をすると身を起こしてスムースに名刺を受け取ってくれた。思っていたよりも元気そうで、少しホッとした。血液が染み込んだティッシュの塊を見せてくれた。量としてはそんなに多くはない。看護師さんが教えてくらたバイタルサインにも緊急性はなさそうだ。

聞けば会社の健診を受けていたころから貧血と断続的な黒色便があったのだという。 病院で進行癌・多発転移と診断され、一切の治療を断り、自宅に帰ってきた。60数年、一人自由気ままに生きてきた、という感じの一戸建ては、今はなき両親と暮らした彼の生家なのだという。 治るなら入院して頑張るけど、そうでないなら自分の好きなように時間を使いたい。診断から予後宣告、そして退院。ほんの短い期間に、自分の意思で選択した生き方。

今すぐどうこう、ということはなさそうですよ、とお話しすると、彼はちょっとホッとしたような表情を浮かべた。

もしかするとまだ少し迷いもあるかもしれない。だけど、たぶん、ここに帰ってくるのだろうと思う。 帰る間際に、実は彼は一人暮らしではなかったことに気づいた。小さなヨークシャーテリア。ケージの隙間からこちらを心配そうな顔で見ていた。

家に帰ってきたかったのはもしかしたらこの子がいるからかもしれない。 入院しない、治療しない、というのは、もちろん何もしないというわけではない。 明日からきちんと体制を整えて、この家で、この子と少しでもいい時間を過ごせるようにサポートして行けたらと思った。



                           

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